[ときに、フードの女性──オクリビは、アリシアを「どこまで」知っているだろうか。
変装すれども変わらぬ体型と髪の色。夜雀亭という店で食事を提供する幼い少女。その実は夜の女王の中心部の血縁であり機械化人類。メトロポリスの先鋭技術を用いた高性能の機体。このような場所を訪れた理由。
同じ街に暮らしているとて、用もなければ言葉を交わすことは無い。
それが片や飲食店、片や葬儀社となれば尚更のこと。
しかし葬儀社は、機械化後のアリシアの引き取り先候補に上がる程度には夜の女王との繋がりを持っている。もっとも立場の公平性故に棄却されたのだが。
一方的に何かを知られている。
仮にそうだとしたら、そしてオクリビに打ち明ける気がないのなら、アリシアがその事に気付くかどうかはオクリビの語り口の上手さとアリシアの観察眼に委ねられるだろう。*]