[そもそも、ファッションやそう言った物と隔絶された世界に生きていた私は、監獄に送られる前は粗末なワンピースにしか着た覚えがなく、豪華クルーズ船にずらりと並んだ衣服など物によっては着方すらも分からない有様になっていた。
そうして、悩むに悩んだ私が頼るに至った相手は──]
……こんにちは、はじめましてなのよ、ハリコさん。
私はフィア。お義父さ……アレッキーノの娘なのよ。
[──あの時、目が合った女性だった。>>116
脱走し輸送船で見かけた時から、他の囚人とは違う服装だった事が印象的だったのが決め手である。>>1:89
まさかそれが本職のデザイナーだと言う事など露とも知らず。
彼女の右眼に巻かれる包帯には、特に気にした様子は見せなかった。
これは度合いは違えど、私もまた身体の一部を指して色々と言われてきた側なので、そう言った人物にはシンパシーが先に芽生えがちなのが多分に含まれている。>>0:330]