さあ行きましょう。
時間は待ってはくれないのよ。まずは──せっかちさんのお片付けかしら?
[機械の体になって4年の間、護身のために身に付けた知識と戦闘技術。
まさか、こちらから潰すために使うとは思わなかったけれど──大切なものを守る、という意味では「護身」の範囲に含んでもいいだろう、なんてとりとめのない思考を浮かべ。
組織内におけるアリシアの立場は、正確には決まらなかった。
フィジシャンの紹介>>167はあくまで「戦える人材」というもの。落胆や絶望という感情を抱いていたものにとって、少女の存在は光となるか、それとも取るに足らぬものと思われるか。
いずれにせよ緊急事態のただ中、その存在だけを夜の女王の間では周知される事だろう。それを組織外の者が知る手立ては……盗み聞きや通信傍受によって聞き出す他にあるまい。
未だ報告の上がらない組織を離れ、ひとまずは──首輪の外れたチンピラを減らそうかと歩き回る。
気付けば姿の無いフィジシャンに続いて、ページボーイを含む軽装の人員を数名連れ、街へ。
裏通りを進む彼女は腕を隠すではなく、しかしあえて人目に付くような移動をするでもなく。静かに事を進めていくだろう。
彼らのボスへ報告が届くかどうかは──不意打ちによる攻撃をかいくぐり連絡を送ることが出来るか、という彼らの有能さにかかっている。
もっとも、直接遭遇すればその限りではないが。*]