“白の翼” 外浦部 翼

[こうしてスタジオや会場の使用料に泣かされながらも活動を続ける中で、ある日のライブがとある事務所関係者の目と耳に留まり、「この子たちならもしかしたら」という直感から契約が決まった訳でしたが……それでもしばらくの内は、ヴィジュアル系界隈でのみ注目される状態。
　流石に何かしか“ぱっと見でわかりやすい個性”が欲しいところ……ということで、勢いでつけたバンド名にちなんで蝶（バーバチカ）や星月のモチーフをバンドロゴやCDなどのアートワークに加えましたが、基本的に奇抜さを抑えた耽美さに留めたのはこれまで通り。

　ただここで事務所やレーベルの後押しを受けられたお陰で、ラジオ放送などでも少しずつ“星月のバーバチカ”の楽曲が取り上げられるようになります。>>192
　勿論、お客さんたちとの距離を近づけるライブも絶えず続けて。
　そのうちにただ技巧ばかりが先行していた楽曲にも、個々のメンバーによる作曲（“シマ”もまた作曲陣のひとりです！）やバンドでの編曲の中に、“星チカ（星月のバーバチカ）”としての“一歩突き抜けた何か”が表れ始めます。

　この“一歩突き抜けた何か”というのは言葉では聊か表現し辛いものですが……敢えて言語化すれば「その音楽家、そのバンドにしか出せない音の魔力」といったところでしょうか。
　“音楽バカ”の耳ならばきっと見た目に騙されずに気づけるような、そんな“何か”です。]