どなたか珈琲を召し上がりませんか?
淹れたてですよ。
[私は、何度か珈琲を振舞った事がある女性の姿を視界に捉えた。彼女の職業など詳しいことは聴いてはいないが、
私の方の事情――アンドロイドであることや、亡き妻の存在、ホワイト・マーブルにいる息子の現所有者、記憶を消去される予定などは特に隠さず話したとは思う。
私が自己紹介をし、相手がしないのを私は全く気にすることはない。
人には人の事情があるし、特に女性ならば猶更言いたくないことだってあっておかしくないから。
なので、私は彼女の名前を存じ上げているぐらいだ。
さて、私の声掛けに彼女が応じてくれるかはわからない。
もしも食後の珈琲を望んでくれるのならば、すぐに提供は出来るのだけれど…。*]>>232