[鐘も鳴り響き夜も更けてきた今、これが「先輩」との最後の別れになるかもしれない。そう思い当ったこともあって、白薔薇は脚を止めて振り返ったのですが……。
ここで改めての感謝の言葉と共に、もっと基本的なこと……自己紹介を「先輩」から受けたのです。>>231]
皇 桃李。
皇 先輩では、なかったのか?
[白薔薇は素できょとりと瞬きながら、それでも「先輩」……いえ、桃李本人が伝えた名前ならそれは正しいのだろうと思いました。なぜ理音が彼のことを「皇先輩」と呼んでいたのか、その答えがここで聞けても、聞けずとも、ひとまずこの名を受け入れたのです。
そして白薔薇自身の名を聞かれて、白薔薇は少しだけ、考えるように額に己の指を添えました。]