[ 私はその時初めて、きっと君の前で泣いたんだ。
軍医として、医者として。
王が届けてくれた筈の希望さえ為せない無力さと。
片腕を無くした人がいた。
もう誰かを抱き締められないと泣いて。
片足を無くした人がいた。
もう君と一緒に歩けないとわらって。
子供を亡くした人がいた。
抱き締めれば響いていた両胸の鼓動が
もう自分ひとりの音しか聞こえなくなったと嘆いた。
片眼を無くした人がいた。
あの人と同じ景色を見れないと俯いた。
私の部屋に保管された数多の無念
お願いだから、私以外が、命を冒涜しないでよ。 ]