[この日も変わらず喫煙に耽っていた。
変えたばかりの銘柄はやたら苦く口に馴染むまでもう暫くかかるだろうと考えていた時の事だ。
カーテンの向こうで遠慮がちに落とされた声>>107に重い腰を上げ、無機質な床をかつかつと鳴らしながら鉄格子へ歩み寄った。
当然鍵などないから、隔てるのは布一枚でしかない。
それは片手で容易く取り払われ、]
鍵なら開いてるわよ?
……あら、定期便かと思ったら違うのね。
うふふ、御機嫌よう。何処かの囚人さん。
[心当たりのない包みと、配達人の顔を交互に一瞥して。
声を掛けるなり、独房の内側から鉄格子の扉を引いていとも容易く半身を外へと出した。
そうして置かれた包みを問題なく拾い上げる。
VIP対応。ある意味間違いでもない表現だ。]