薬は容易に毒にもなり得ますからね。 おいそれと人に教えるようなものでは──[聞けば、年端もいかない容貌の彼は、 薬師の資格もあるという。 見た目で年齢の推測のつかない界隈だ、 さもありなん。 とはいえ。自分より歳下ではあるだろう彼が、 何か事情でもあるのか、熱心に頼み込む姿には 無碍にしがたいものがあった。 その場は一旦返答を保留にしたものの、 後々仕入れた街での評判から察するに、 性根の良い若者のようだったから。 「例の件、週一でも良ければいらっしゃい」と 告げて、師弟関係が始まった。]