[贈り物だけでなく眼前の男にも心当たりがなかった為に、大方看守にいいように使われたのだろうと考えが至るまでは早かった。
差出人名やカードの類が外側にないかどうか、包みを裏返して確かめる。包装には記載されていないので一先ずそれを胸に抱えた。]
ご苦労様。
此処じゃ流血沙汰や“汚れる”事案なんて
滅多に起きないから……
少しくらい楽して行ったって良いのよ?
[口元に手をやって艶やかに笑えば、彼は自身が思いっきりパシられた理由を何となく察せられるだろうか?
言いながら、概ね差出人の見当はついた。
ほぼ自由の身分を活かして直接礼を言えばいいものを、此処では敢えてそうしない事に決めた。
その方が面白そ……いや。
彼の肉体的負担は減るかも知れないと思ったからだ。
決して面白がってなどいない。]