― 公爵令孫と ―
[未だ電脳が完全覚醒して居ない事もあってか普段よりやけに素直な様子で、飲み物を飲むよう促されれば彼女の言う通りにする。>>229
冷えた温度が心地よく口内を、食堂を通り抜け、胃に落ちて行けば、ふぅと吐息を一つ。
どうやら自分が今まで行って来た事や評判を散々と聞いたらしい。>>230
良い噂も悪い噂も付いて来る立場、面白い話は掘れば幾らでも出て来ただろう。]
そうかな?
わたしより苛烈な連中も居たし
[まああの悲劇の雨の夜、該当幹部らは死んだのだけれどね。
自分は控えめな方、さっぱり分かんないなと言いたげに、小さく首をかしげる。
組織に留まっているのは、良くも悪くも、自分がやった事の尻拭いを自分でしなくて良いから。
自分が好き放題と振舞った後も、その成果をプラスと受け取って動いてくれる人間たちが居る。自分の所業をもっともっと大きく広げ、相手を終わりへと導く。
他者の派手な破滅を最前線で見てみたいだけの自分にとって、こんなに良い立ち位置は無いだろう。
ついでに虎の威を借りられるならば上々、長い物に巻かれるのもそう悪い話では無い。]