─回顧・オーネストの問い─
『嬢ちゃんは、
…その。人、なのかい?
それとも、電脳化とかしちまってるのかい?』
[お酒が進み、不思議な問いかけをする男。
ただセンチメンタルな気分だったのか、何かを思い出しているのか、はたまた純粋に気になっていたのか。
並の少女と変わらない外見で、さらに言えばオーネストはアリシアの手に触れたことはあるだろうか。
アリシアの主観では記憶にないが、グラスを持つ手の質感や触った際の弾力も変わらないはず。
強いて違う点を挙げるとすれば、汗をかいたり外因によって色が変動したりなどの生理現象は起こらないはずだ。
適当に誤魔化して答えたその一言に、特に何かを追求するでもなく酒を呷るオーネスト。
以降、彼がこの日ほど悲しそうな顔をしているのを見ることはなかった。]