[現在。アリシアが人の腕を身につけることは、しばらく無いだろう。
細かな作業はページボーイがしてくれるだろうし、そうでなくとも数人と共に行動している。戦闘で困ることは……仮にあったとして、とてもメリットに釣り合わないのだが。
私は単なる戦闘員、かつ小隊長とでも言うべきか。数人を引き連れて身軽に、かつ踏み込んだことも行う遊撃隊の様相だ。
しかし一つだけ気になることがある。
もし彼とふらっと出会ってしまったらどうしようか。店に戻っても、互いに生きていれば再び笑顔でお話しすることができるはずだ。
こちらが先に気付けば身を隠すが、先に彼に見つかったなら……きっと互いにとって、"それ"は望ましくない未来だと思う。
もし、いざその時が来たのなら。オーネストという男がどのような思考に辿り着くのか、それは今のアリシアが考える事ではないのだろう。*]