[収監所にいた頃のほうがまだ人間らしい生活が出来ていたと思うような日々から一時的に解放されやってきたのは、とある場所。日常から切り離された賑やかな空間。
そう、
フェスタである。
彩とりどりのリボンや風船で飾られたその場所は、早い時間というのもあってか人はまばらだ。
軽快な音楽が流れるもいまはまだゆったりとしたこの空間も、あと数時間もしないうちに大勢の人で賑わうのだろう。
各地の名品やここでしか手に入らない雑貨を並べる店が所せましと連なっている。ステージでは様々なアーティストやパフォーマーによるショー、トークイベント等が予定されている。
キャラメルとチョコがたっぷりかかったチュロスを右手に、見た目にも華やかなサングリアを左手に持ち、次の店を探す。歩きながら食べるのは行儀が悪いが、この場所では許されているので問題ない。]