[親と呼ぶには、ろくでもない親だと思うけれど。
それでも、フットマンの気まぐれと一緒に命を拾った少年少女にとって、フットマンは父親だった。
──だから。
子どもの姿を目に止めて、子どもの移ろいを楽しむ人間にとって、その小さな娘が目を引いたのは、別段おかしなことではなかっただろうと思う。]
…デュークのジジイの孫?
じゃあ、あのガキのガキ?
[ふぅん、と人伝に話を聞いたフットマンは、公爵の孫に興味を持った。
おかげで、やたらとちょっかいを出しに行くから、「彼女にはちゃんと親がいるんですよ!」と部下に要らぬ釘刺しをされたのは、此処だけの話にしておいてほしい。そういうんじゃないんですけど。]