あの身体で耐えられるのは一箇所だけだ。もう少し大きくふくよかになれば、もう一箇所。 「一箇所でいい。」……そうかい。[そんな話を、子どもを遠目に声をひそめて、男を連れてきた軍の人間とする。きっと使い潰しにされるんだろう、と思った。もしかしたら、あの子にとっては、そちらの方が幸福なのかもしれない。施術をしたあと、経過観察をする男と彼女は、幾らかの言葉を交わしたりしただろうか。全てが上手くいったあと、彼女が偵察兵見習いになったと何処かから聞いて、ああ、と息を吐いたのは遠い記憶だ。*]