[ 薬草は、保管していたものがいくつか残っているけれど
調剤するには時間が掛かる。
今ここで薬剤を私へ割くわけには尚更いかなかった。
無茶なんてするものじゃないなと思うけれど、
不思議と後悔はしていなくて。
"救える命を救うための医者"として出来ることは
……私なりに、やりきったつもりだったから。 ]
王は、ご無事か?
…………そうか……。
[ 知らずのうちに詰めていた息を吐く。
それから、右の指先を僅かに動かし、弱く握り締めた。
……本当の意味で、まだ、壊れてはいない。
だが、無茶が出来るのも、後一度が精々か。 ]