[彼女の問いには笑って答えた。]
俺はそもそも本なんて読まないからな
すぐ飽きちまう
まあ、此処ならではだよ
こんなに暇でしかなかった日々は、人生で初めてだったかもしれない
ま、おかげで本の面白さってやつは多少理解したつもりだ
暇があれば図書室に行ってみるといい
「冒険」シリーズがお勧めだ
[言いながら、自分の読みかけの本を持ち上げた。
暫くの後、会話も尽きれば今度は近くの寄りかかれる木―なのだろうか―に寄りかかり、座ったまま本を読み始める。
近くに彼女がいても、お互い静かに穏やかな時間を過ごせたのではないだろうか。]**