[そう、不審者だった。>>270
突然意味の分からない助言をした挙句、ボスによろしく、なんて言って去っていこうとするただの不審者。酔っ払いの頭はその情報を、すぐに解釈できないでいた。生身の欠点でもあるんじゃないかな。]
………ん?……んん?????
[もっと複雑な物にしておいた方が良い、なんて言い回しに引っかかって27秒。一瞬だったか、それとも頭が回らなさすぎだったのかはともかくとして、気づいたころには男は外だ。]
!
アイツ、もしかして、
[俺だって般若のような形相くらいできる。般若のような形相でガタン、と立ち上がると、扉に向かって駆けだした。後ろから「無銭飲食はだめだ」とか声が掛かっても知らねえし、一緒に飲んでたヤツが困惑してたかもしれない。
…だけど扉の外にはもうアイツはおらず、俺はただ、通りの往来を眺めるだけだ。
金?大丈夫だ当然払う。その日は「酔いがさめた」とか言って、そのまま帰路に就くだろう。]