― 街中 ―
[街を行けば様々なモノに出くわす。
同陣営の者は勿論の事、既に沈黙した肉や鉄くず、膠着状態の他者と他者。
数で押したり押されたり、火力に弄ばれたり、火傷をしたり。
皆様々と立ち回って居るが、皆キズと血とオイルまみれ。そこら中で火花が散り、血だまりが幾つも落ちている。
真っ赤な水たまりに足を突っ込めば、水音につられた銃口がいくつか此方を向いた。
低い姿勢を維持し、壁に隠れながらその場を駆け抜ける。
自分は戦闘狂と言う訳では無いのだが、この状況を楽しむぐらいには頭のネジが綺麗に外れている。
無論、公爵や他幹部らの死は悲しい。やった相手若しくは組織を探し出さねばと言う気持ちもある。
悼む気持ちはきちんと所持しているが、それと同時、悲惨な状況を前に歓喜と沸き昂るのも確かな訳で。
本来両立しない筈の物が両立する自分にとって、これは極々当たり前の状態と言えよう。]