回想:8歳・改人になってすぐ
[メトロポリスに逃げ込んで遠縁を頼ってすぐのこと。連れていかれたのは軍の施設だっただろうか
>>278。随分と大きな・・・自身と比べると倍近くあるのではないかと思えるくらいの大男を見上げながら、大人たちの話を聞いていた
何でもすれば強くしてくれる。飯も寝床もあるという。少なくとも虐待や犯罪、直接的な暴力に順ずる”何でも”ではないことだけは保証された。それが喩え命を賭けた任務だったとしても、”生きている限り”、今までの暮らしよりは格段に良いことが確約されている。
大人の話は難しく、その施設に連れてきた遠縁の男とは、それ以来会うことはなかった。軍に”売られた”のだと気づいたのは随分と後の話だ。
結果として施術は成功したらしい。施術の間は痛みもなかったし、後遺症も合併症も起こらなかった。それでもすぐに光の速さで駆けることは難しく、重心移動や走り方のコツをつかむまでそれから時間がやや掛かることにはなるのだが]