[暫くの入院中、および経過観察の間、その大男と話す機会は多々あった。故郷のことを訊かれても口を閉ざしてしまっただろうけれど、メトロポリスの話は子供のほうから訊きたがったかもしれない。
昼に出た料理はなんだったのか、窓から見えるあの施設は何か。あの人が持っているものはなんなのか・・・それは勿論メトロポリスならではのモノも有っただろうけれど、”普通に暮らしていれば”、トループに居たって知ることができるであろう基本的な質問も数多く混ざっていた。
恐らくそこから大男が推測できるのは、やせ細った娘が無教養であることと、少なくとも”普通の暮らし”を送れてこなかったということ、だろうか]