[あんな状況じゃァ、お日様の下でピクニックなんかも煽り文句に聞こえちまってた。でも今は違う、陽の光に照らされて、ぽつぽつ零すそいつは真剣で。
大切な誰かを殺してしまった過去。安心して日向で笑える世界。自分自身のことと何も変わらない。
ああ…そうか。それを“奪われた”と思えるのは、未来に希望を見ていたからだ。それを“奪われた”と思わないのは、そもそも未来に希望を抱いて無かったからだ。]
そうか。
[すべてを聞き、まずはそう零す。「俺も俺も」なんて共感を誘うのは簡単だが、それをしたところで古傷の舐め合いにしかなりゃしねェ。
もちろん「お前は何かあったのか」と聞かれたら、ある程度のことを話しただろう。大切な人を喪ったこと、この手で殺したと同義なこと。それは、"電脳化を悪用するヤツら”に奪われた命であること。……それを話してたほうがお前の理解が深まるのなら、多分隠すことなく話しただろうな。そうしてから、続ける。]