「祈、どうしてこんなことを……!」[唇を噛み締め震える兄代わりの背後に立つ白衣の陰を見て、少年は悟った。驕っていたのは自分自身であった。日々の行い──誰かが亡くなるたびに今や形骸化した宗教の真似事をし、誤魔化しきれない憂いを浮かべるその姿──から新たな計画に引き抜くには忠実性が不足した危険個体として、既にマークされていたのだろう。それがついに超えてはならない領域に到達したのなら、逆の立場にいる兄──優秀で感情を出さず大人しく従う──の実践テストには丁度良い存在になってしまったのだ。]