[この言葉の後に決まって何らかの事件が起こり、調べるとその全てに夜の女王が関与していた。
そんなことが数度続けば、明らかに一般の構成員に持てる情報群では無いと気付く。そしてどうしてそれを私に伝えるのか──]
何だか筒抜けって感じね。組織の看板を使っているのだから当然だけど。
[少なくとも私の調査活動は咎められていないようだが、フィジシャンの思惑がどうしても読み切れず歯がゆい思いをした。
こちらが探りを入れようとしている事もバレていて、その上で軽くあしらわれているのだ……もちろん、ただ私の身を案じているだけな可能性は少なからずあるのだが、たとえそうでも何も知らないという事実が私の不安をあおる。
こうなっては彼から情報を聞き出すのは絶望的と言わざるを得ない――心の内で嘆息をひとつ、彼の好みの酒とケーキを配膳する。せっかく築いた関係性だ、いつか彼の本当の仕事でも話してもらえれば万々歳と割り切って接することとしよう。もっとも、隙を窺うことまでやめるつもりはないが。*]