[かぷり、と小さく食した最中に、食べ終わった彼へと無作法ながら視線を向けて 小さく頷いてみせる。>>252
続く言葉は、自身が吐露してしまった不安感に寄り添う優しさが溢れていて。>>252
その一つ一つに心の淵から温かさが沁みていくような錯覚を覚え。
少しだけ、……ほんの少しだけ、視界が潤んでしまったのは内緒の話だ。
どうしよう。どう、しよう。
彼には好きな方がいらっしゃるのに、それなのに。
言い淀んだその言葉の先>>253が、どうか私と同じ思いならいいのにと。
貴方の傍で、知らないものを、新しいものを一緒に見ることができたら。
身勝手な我儘が頭の中をぐるぐると駆け巡って、彼の顔を直視できずに 逸らしてしまった。
だからこそ、彼の柔らかな笑みを見損なってしまったのだけれども。]