どうかお願いします
それを渡してくださいな
[ほら、これで良いでしょ。貴女のお願いはちゃんとかなえてあげたわ、だから渡して。
貴女に屈する気は無いけれど、それでもプライドなんてどうでもいい。
看守の、やや驚いたような顔をじっと睨みつけながら、急く気持ちを必死に抑えて。
待ち合わせに遅れるとか遅れないとか、そう言う事じゃない。手紙を永遠に失ってしまう前に、看守から取り上げないと。
ハリコとのばいばいが諦めきれないから。またねって、本当はあの時言いたかったから。
彼女の気持ちを全部知った上で、ハリコの事、追いかけたいから。
「後でね」って、言ったから!>>144
だって、わたし宛なんでしょう?けれど看守は、くしゃくしゃの手紙を懐に仕舞い直す。]
「……死ななかったら
読ませてあげる!」
[そうしてにやにや笑いのまま銃を構え、まるで弄ぶかのよう私の足元へ発砲した。
大きな音と共に、コンクリートの破片が勢いよく跳ねる。
見慣れない型番。改造マグナムとまでは分からなかったものの、威力の高い銃だと何となく判断する。>>225
一瞬の怯えを覚えつつも、わたしは重い鈍器を強く握りしめて。]