…あいつだけは必ず殺せ
パーツの欠片も残すな。必ずだ。
見かけ次第、どんな手を使ってでも
あいつを木っ端微塵にしろ
[そう指示して以来、男の仕切るテリトリーでは、
内科医の男への警戒心が跳ね上がったろう。
…暗殺者や、報酬が出ると聞いた三下が
彼を殺そうと立ちふさがったこともあるかもしれない。
機械化人類であっても、時折立ち向かってくることがあったろう。そういうときはたいていそいつは囮で、『お楽しみ』タイムに入っている男を生身の人間が殺そうとしてきたに違いない。
…そんな中で、機械化人類の記憶を漁る余裕は果たしてあったろうか?
太陽のような鮮血の赤髪の長が、ある日を境に幼い少年のような姿になった記憶を…読み取れたことはあっただろうか]