「自分の卒業式だもん。自分で植えた花じゃないと意味ない。
もしかしたら、綺麗に咲くかもしれないし。
パンジーくらい色んな色があって冬に咲く花、他に知らないもーん。
それにね、全部咲かなくてもいいよ。最低限咲いてくれれば。
満開にならなかったら、その後の世話は飯島くんに任せます。」
[だから頑張ってね、と言われて飯島は頷いた。
先輩の輝かしいほどの笑顔。それに気圧されるようにして。
咲かなかったら意味なくないですか?という言葉も。
どうせ見ているやつなんていないですよ、という言葉も。
頭に浮かんだそれらの言葉を、口に出すことはしないまま。]**