[落ち着き無く辺りを巡る視線は、近づいてくる人物を捉えた時に一時静止する。>>249
知性的な雰囲気、けれど白衣を着用していない。全く知らない成人男性。
もしもその商売道具を男性が目に見える形で持ち歩いていれば、少年は一時興味深そうに眺めただろう。]
初めまして、マストさん
僕はイノリ……ええと、施設で皆と暮らしています
[そして泣き出すどころか、少し落ち着きを取り戻した。
見知らぬ大人と顔を合わせる経験は彼の日々にはよくあることだった。
そこに気遣いと優しさが見えれば尚の事、特に緊張も警戒もする様子はなく小さな頭を下げる。>>250
馴染みの無い名前は異国めいて感じる。姓か名前かも判断できなかったが、少年は名の方を名乗った。仲間たちにそう呼ばれているから。]