[小さく畳んだ手紙をポケットに大事に仕舞いこみながら、目元を拭い立ち上がる。
血塗れのバールをその場に放り捨てれば、カランと高い音がその場に響いただろう。
傷だらけの痛む足と身体で走り、厨房の穴を乗り越え、わたしは外へ飛び出した。
向こうの方に大きな船が見える。
きっとあれだわ。
人の形をしたわたしはなあに?
得体の知れない唯の怪物。>>1:114
だから、謎かけはそれでおしまいなのよ、ルミ。
わたし、わたしは、今は何の為に外に出たいのか分からない。
それでも足は止まらない。
ハリコに「後でね」って言ったから、わたしはその為に、船に乗るんだ。*]