あなたまで巻き込みたくは……なんて言うのは、
あなたの厚意に対して失礼ね。
これからも、何かの折には頼らせて。
あたしはハリコ。ハリコ・モーガンズ。
あたしからも、叶う範囲であなたの力になりたい。
よろしくね、ルミ。
[確かな安堵が滲んだ笑みと声色でそう告げてから――ほんの少しだけ勇気を出して、微笑むルミの耳元で囁く。]
“あたし、お金だけはいっぱいあるの。
何かあれば、嫌なヤツはそれで黙らせてあげる”
[看守たちにこの声は聞かれずとも、耳打ちの仕草は見えてしまっているだろう。
看守に何か問い詰められた際には、如何にもそれらしい作り話を用意しないと――なんて詐欺師めいた思考が過って、少しだけ苦笑を浮かべてしまってもいた。]