[さて、当のルミ自身に己の資産状況を打ち明けて良かったのか――という問題についてだが。
ルミに“ハリコ・モーガンズ”の名に聞き覚えがあるならば、打ち明けずとも想像に難くないだろう、と。
とはいえこの時に限っていえば、単にルミに気を許しすぎていただけ、とはいえた。
それから程なくして、ハリコはルミに支えられる形で医務棟に向かっていた。
こんな非人道の極みといえる監獄でも、裂傷用の抗生剤と痛み止めはちゃんと処方して貰えたのだった。
……命に直接関わらないからなのか、右眼と顔の皮膚を元通りにする先進医療までは用意されていなかったが。*]