あ、ありがとう
[そうこうしている間に、スタッフらしき装いの──恐らくアンドロイドがパンフレットを渡しに来た。
お礼の言葉に笑顔で応え、颯爽と次の客の元へと去っていく。
最初に話し掛けられている途中、正門前で一際目立つ存在が男性の背後で視界から消えたことには少年も気づいていた。あれも多分、案内係か何かだったのだろう。>>279]
あの、僕、お兄ちゃんからチケットを貰ってきました
でもチケットは一枚だけで、だから一人です
マストさんは誰かと来たんですか?
良かったら少しだけ一緒に行ってもいいですか……?
どこに行ったらいいのかとかも、よく分からなくて
[少し辺りを見たけれど、男性を待っている様子のある人物はいないような気がする。
気がするだけだから、単に少年が気づいてないのかもしれなかったが。
改めて男性に向き直った少年は問い掛けを重ねる。遠慮がちな様子に、関わり合ってくれる大人への甘えが含まれているのは否めなかった。*]