[さてーーこの白刀を向けられた状態、松本として答えるなら。
行平は、思い出す。
原作だけにある松本の台詞を。
『お前も来るか、こっちに。
そんで昇るか、上まで』>>111
これは真行寺亜美歌に向けてのものであり、結月に向けたものではない。
しかし、この台詞から松本の人間性、芸術に対する隠された情熱、生徒の自由を重んじつつも導き、共に高みを目指したいと考える姿を推察する事は可能だ。
松本は普段こそだらりとしているが、生徒に向き合う時は言葉や態度が変わる。
この人物像と、根岸が結月として発した台詞を掛け合わせ、行平は答えを構築するのだ。
脇役は、脇役。
シーンの主役は結月。
しかし根岸と行平は対等ーー挑む。]