[ゆるゆると手を取りながらたどり着いた案内所では、多少の人だかりができていた。
女がその理由に耳を澄ませば、やれ休戦の話や、制限の話に合わせて、トループ渡航の事前申請があるかどうかなども問い合わせているようだ。
案内所の窓口は、珍しく男女二人で応対している様子。
どちらも物腰柔らかく対応しているが、女はじっと見比べた後、女性側の列を選択して並びにつく]
今はちょっと混んでいるようですね。
地図を頂いたら、ついでにトループの渡航に
必要なものを確認致しましょう。
もしかしたら、その石も必要になるかもしれませんし。
[と、呑気な事を女は呟く。
女性側の列を選択したのには、男性側の方に疲労の様子が見えるからだった。
忙しい中、自国の民以外の相手に気を使いながら案内を希望するのに適さないと感じたのもあるが
女性側は三年前の国交封鎖の際、しばらくトループ国境付近の案内所にいた記憶が女にはあった。
もしかしたら、案内している男が、一度くらいは姿を見ている可能性もないかと、淡い希望を乗せつつ]*