船の上、ルミと
[それは、甲板の出来事が全て終わった後か、それとも医務室での治療後の出来事だろうか。
いずれにせよ、どこか人の目がある場所──義父との約束を護る為に
>>95──、私はルミを訪ねた。
彼女はピクニックの誘いを断ったのに、こうしてここに居る事をなんて言うだろうか。
誹りを受ける覚悟はうまく出来ないまま、早く伝えないとと自分を奮い立たせ、そっとルミの元へ赴けば、おず……と彼女の表情を伺いながら名前を呼ぶ。]
……ルミ。
[近づいて、彼女の手を取ろうとする。
拒絶されなければ、ぼろぼろになった私と同じくらいか細いその手を、自分の頬に添えようとするだろう。
そうすれば、彼女の手から感じる熱に潤み始めた瞳から、やがて一筋の雫が頬を伝い彼女の手へと零れるだろう。]
……生きてて、本当に良かったのよ。
[たとえどんな言葉を受けても、この言葉だけはと思って紡ぐ。]