[やれるもんならはつまり、やれないぞ、という意味だ。絵はお前を離さないぞ、と意思を込めた。
松本はこう考えているはず。
たとえ行平の解釈が間違っていたとて、映画の撮影は一発録りなどしない。このテイクに監督からダメ出しを食らったら、その場合はまた新しく作っていけば良いだけだ。
自分を出しすぎてはいけない。
そうなのであるが。
行平はこの瞬間、それを緩めた。
リミッターの解除をした。
沸き上がる情熱に身を委ねた。
きっと彼女は応えてくれるし、それこそ根岸の、そして結月の魅力を最大限に引き立てるはずだーー]