[棚の前、困った顔でまごつく私の横に、すかさず店員のお姉さんが登場する。
「お困りですか」と言う言葉に、ハイと小さく、素直な返事を。]
あの、
ピンク、の石が付いたネックレスを
人に贈りたいんです、けど…
[何とか絞り出した言葉に店員さんは笑みを浮かべ、「こちらです」と私を棚の一角へ案内してくれた。
凡その予算を伝え、言葉を交わしながら品を選んでいく。
これは少し大粒。
これは今風じゃない。
これは完全に予算オーバー。
幾つもの品を吟味し、
最後に自分で選んだのは、タフィーピンク色の、小粒のガラスネックレス。
透き通ったそれはどこか飴玉にも似ていて、シンプルなペンダントトップデザインと相まり、何処か柔らかな印象を抱く。
細いチェーンからなる金のショートネックレスは、今にも千切れてしまいそうなドキドキを与えるけれど、主張が激しい物はきっと邪魔になってしまうから。
そんな、贈る相手の事を一生懸命考えながら選ぶ時間は、とても楽しい物だった。]