― かつての戦場での一幕 ―
[あの時はまだ、声を失う前だった。
単独での"仕事"の最中、ぼろぼろのヴァルハラ兵と思しき者を一人拾った。
キャンプに近い場所であったし、兵もそちらへ向かっているようだった。方向としては正しい。
パワードスーツはお釈迦だったが、治療の跡が見える。
しかし医者の姿は何処にも無い。]
フリーズ
貴様其処の所属だ
どう逃げ帰ってきた?
先行部隊は壊滅したと
報告を受けている
[数日前の情報を口に、機体の銃口を向ける。大口径のそれは一発でも当たれば死ぬのは当たり前で、相手もそれを承知しているようだった。焦った顔で弁明を繰り返す。
相手が言うには、自分はその「先行部隊」の一員であった事。
確かに壊滅した事。しかし医者に治療され、十分な休息をとってから自軍のキャンプに戻れと言われた事。
今がその途中であるという事。]