[取り出したのは、重い拳銃。]
[監獄から持ち込んだソレには返り血がこびり付いていたけれど、拭き取る事無くわたしは重い銃を両手で弄び、そのままボートの淵に腰掛ける。
少しバランスを崩せば、深い深い海の底へ真っ逆さま。
ライフジャケットも無い上、ケープを纏ったままではまともに泳ぐ事も不可能だろう。
船の淵は手が届くような高さでも無いし、引き上げてくれる人も居ない。
そうして両手で握った拳銃を自身の顎下に突き付け、
わたしは空を仰ぐ。]
――キレイな空
[晴れていて、本当に良かった。
微笑みながらトリガーに指をかけ、引き金を引いた。]