[キャンプまでの帰路、負傷兵と様々な事を話した。
メトロポリス軍との交戦、上からの無茶な作戦命令、壊滅した部隊、丸一日死体と共に転がっていたこと、不意に現れた医者、兵自身の負傷度合い、拾ってやった事への礼。
妻と娘の為にも生きて帰りたいと泣いていたが、軍人に向いていないからさっさと帰れと、プライベートの話は切り上げさせた。
兵が来た方角へはそろそろ追加部隊が導入される。そして自分もそこに含まれている。
最初の部隊より、さらに人数や戦力を上乗せして攻め込む算段らしい。
自分はキャンプ地点の護衛も兼ね、中間地点で警戒を行っている最中であった。]
例の医者には悪いが、
あの地区は焼け野原になる
[壊滅報告に、上はムキになっている。おそらく徹底的に潰してしまうだろう。
件の医者がまだ残っているかもしれないが、そんなことは作戦には関係ない。
負傷兵が止めてくれと喚きだした頃にはキャンプ地に到着していて、控えていた兵にある程度の事情を話し雑に引き渡す。
黒い医者の事は話さなかった、それはきっと、彼の口から漏れる事だろうから。
軽い質問の後、戦力から外れた負傷兵は後方へ送られる。それで終わりだ。
ドッグタグから所属部隊が割れれば、きっと尋問も免れるだろう。]