[ 反逆者として疑われるのが怖いわけじゃない。
そんな領域はもうとっくに踏み越えた。
ただ、あの時の王が、頭から離れないんだ。
愛し子のためにひとり──例え手段が正解でなくても
国の為に身も心も捧げ続けて来た王。
王も人間なら、そのこころが強いばかりでは、いられない
…………嚙み締めた唇から血が溢れ出る。 ]
(王は、私を救ってくれた
なら王のことは、誰が、救うんだ……?)
[ そう考えた時、思い浮かぶのは、あの大佐だった。
常に王の傍に控え 王も気安さを許す彼のこと。
二人の間に横たわる擦れ違いを知らない私は
どうしたって彼を想起してしまうのだ。 ]