大丈夫。もう一人で遠くにいったりしないよ。 さみしい思いはさせない。 ああ、そうだね、二人で旅をするものいいね。 うちの両親みたいに。[ 貿易商を営む父は、母とともに、年中旅をしている。 幼い頃から、両親不在が当たり前すぎて、 いなくて淋しい、という感情を抱いてこなかった。 両親はいなくても屋敷には 自分の面倒を見てくれる人がいたし、 病弱であまり活発でないながらも、友達はいた。 屋敷にある本を読んでいれば、時間が過ぎるのも早かった。]