――こんばんは。お客さん、初めての人?
[急な来訪に驚きつつも、体裁を守ってくれる彼の様子に我を取り戻し応対する。
なんだか私を見る目が昔と違うような気がするのは……立場が変わったくらいで中身が変わる人ではない、という謎の確信が脳裏を過るのだが。
しかしそれは置いておいて、彼にはお客さんとして丁寧に接するだろう。]
美味しい食事とお酒があるよ。ゆっくりしていってね!
[機械化後にフットマンと会うのは来店時が初めてだった。
だからこそ「あのガキ」の娘のアリシアとして、生きていると、挨拶したい気持ちもある。
日頃から交わす言葉は従業員と客の他愛のない会話だろう。いつかその話を交わすため、今はただ元気な姿を見せておくに留めるはずだ。]