─暮れぬ朝の臣下─
一目でわかるのね。それなら話は早いわ。
[などと付け加えていただろうか。既にわずかな血痕が目立つ腕に、暮れぬ朝が未だ触れていなければよいが。
少なくとも、それを察するに足る態度を見せるアリシアではなかっただろう。
さて、彼女を知るものであればその態度は明らか。
知らずとも、「アリシアのお嬢さん>>297」という言葉とその腕を見て、すぐに手を出さず様子見を決めた朝の王の臣下たちはきっと聡明だったに違いない。
武器を下ろす彼らの姿を見て安堵する。
多人数を相手に正面から戦うのは、単独で行うには当然リスクが高い。用意の無い相手に負けることはないにしても、我が身の代わりの効かなさは今この時においては厄介だ。]
よかった、それじゃあ内容についてだけど──
[と語りだす内、聞いてる面々の表情は奇妙なものへと変わっていく。
それが少女に対する侮りか、事情、あるいは未来を察しての憐憫か、いずれにせよ好意的な表情では無いことは容易に察しうる表情で。]