回想:副官の”おことば”
[子供のトルーパーズがこの国には案外多いと知ったのは、いつのことだっただろうか。戦争の混乱、流れ着く難民、荒れるスラム、貧富の差、はびこる疫病。無論それはトループのごく僅かな一面でしかないが ―― 表向きには、平和な場所も多いので ―― それでも随分と日々生きるだけでも厳しい子供は多い。そういった意味でも、ある程度の保護を受けられる隣国は、トループ民にとって楽園のようにも思えたか。
>>293休戦にあたり、副官は”里帰り”の言葉を幼いトルーパーズに投げかける。もう子供ではない(と信じている)が、18歳の偵察兵も例に違わずその面子に集められていた。
もしかしたら里帰りの言葉に不安の顔を見せる子供の方が多かったのではなかろうか。それでも副官が「居場所がある」と告げれば、その緊張感は和らいだように見えた]
これは、偵察、任務。
これは、偵察、任務。
[もしかしたら先輩が思うほど
>>304命令の形は成していなかったかもしれない。それでも自分にこれは”任務”なのだと言い聞かせるように、ボクは”花の種”を握りしめる。
そうでなければトループに行く理由なんてどこにもない。
開けてはならないと言われている小袋。お守りのようにずっと持たされているけれど、ボクは、その中身を知らない **]