[潤む瞳。それを冷めた瞳で見据える竹村茜。
クルリと背を向ける。
怒ったような表情は、原作の竹村茜の心情そのものだ。
怒っているのだ。
それでいてどうしようもないと思っている。
人の想いは止められないと、竹村茜は理解している。あの子が自分を好きと言う気持ちも、それを受け入れられないと言う茜自身の気持ちも。
一番怒っているのは、無責任な外野にだ。
自分が好きになれない相手に告白され、断ったら外野に責められる。
文字にすればその通りで、それが異性だろうと同性だろうと、迷惑なのは同じだと竹村茜は感じていたのだ。
乱暴な足取りで向かうのは放送準備室。
扉の前で一度足を止め、胸に手を当て深呼吸をする。
そうしてからゆっくりと扉をノックした。]