『服も、それに髪型も……、
何か良い事でもあったのかしら』
[そう言って微笑む母さんの前で、私はくるりとターンしてみせる。それは何時かのアーネスト師匠のように。どう?私、カッコいいでしょう?そう言わんばかりに自信を持って。]
良い事、沢山、沢山あったよ
素敵な旅だった
[本当に良い旅だった。大切なモノを沢山詰め込んで、私と言う存在は此処に在る。]
『…大きくなったわね』
[目を細める母さんに、私はふふんと胸を張って。]
だって母さん、
私、もう直ぐ19だよ?
[誕生日はもう、すぐそこ。
そう言って満面の笑みを贈れば、母さんは少し涙ぐんで、それでも笑ってくれた。
荷物カートを押しながら、私は思い出を語る。話しても話しても話足りないそれらと一緒に、私達は行くべき場所へ。帰るべき家へ。]