「 ゴホッ、── は、い コルデリア、です、マーチェンド、さん 」 もうひとり別の声がした気はするが、 彼以外にも誰かが来ているのだろうか。 蚊のなくような息も絶え絶えの声で、 やっと、それだけを話して伝えて。 持ち上げるならば、抵抗することもない。 痩せ細った手足は存外軽々と持ち上がるだろう。 時折身をかがめて咳込むが、どうにか落ちぬよう 掴まろうとする気概は有ったようだ。